離婚を考えたらすぐに始めるための不動産売却ガイド
離婚後の生活をスムーズに始めるために
離婚は人生における大きな決断であり、新たなスタートを切るための重要なステップです。しかし、住居の問題が絡むと、感情的な負担だけでなく実務的な課題も多くなります。
本記事では、どちらかと言うと時間的、心理的、感情的な余裕がない人向けに、離婚後の生活をスムーズに始めるために、早めの不動産売却をどのように進めるべきかについて解説します。

1. 離婚後の不動産売却が必要な理由とは?
離婚後に不動産を売却する必要性が生じる主な理由は以下の通りです。
・財産分与の一環として売却
共有名義の不動産は財産分与の対象となります。売却することで現金化し、適切に分配することが可能です。
・住宅ローンの支払い問題
離婚後、別々に暮らすことになった場合でも一度契約した住宅ローンは待ってはくれません。片方の名義でのローンやダブルローンの場合など、ローン契約中は払い続けることになります。
これらの理由から、迅速かつ適切な方法で不動産を売却することが、離婚後の生活を安定させるために重要です。
2. 不動産売却の進め方
離婚後の早めの不動産売却をスムーズに進めるためには、以下の手順を踏むことが推奨されます。
(1)所有権と名義の確認
まずは不動産の名義が共有なのか単独なのかを確認します。また、住宅ローンが残っている場合は、ローン名義や残債の状況も確認します。不動産の名義や持分割合がどうなっているのかなどは一般の人はなかなか調べる機会がありません。不動産の名義や持分割合を調べるには最寄りの法務局で不動産登記簿謄本(登記事項証明書)を取得することで分かります。住所のみでは不動産登記簿謄本(登記事項証明書)は取得出来ないので、法務局の窓口で住所から地番(または家屋番号)を教えてほしいと聞けば教えてくれます。
(2)売却の方針を決める
以下の点を決める必要があります。
・売却価格の目安
・売却後の資金分配方法
・不動産会社の選定
・売却までの時間的余裕
(3)身近な不動産屋さんなどに早めに相談する。
早めに身近な不動産屋さんに相談することで、不動産を売却すると、譲渡所得税が発生する場合があります。売却前に税金について理解し、必要であれば専門家に相談しましょう。
(4)近隣の不動産相場を調べる
近隣の不動産売却情報などを参考に、およその不動産価値を調べることで売却する場合の相場がわかり価格交渉の最低ラインがわかるようになります。
(5)感情的な対立の回避
お互いの感情的な対立と心理的な余裕のなさが、売却までの期間に影響を与えます。お互い冷静になって事を進めることが重要です。必要であれば第三者の調整役を依頼しましょう。
(6)適切な売却方法を選択する
売却方法には主に以下の選択肢があります。
・仲介による売却:市場で買い手を探す方法。高値が期待できますが、時間がかかる場合があります。
・買取による売却:不動産会社に直接買い取ってもらう方法。スピーディーですが、価格は市場価格より低くなる傾向があります。
・リースバック:売却後も住み続けたい場合に有効な方法です。ただし、家賃が発生します。
3. 住宅ローンが残る不動産を売却する方法
1. 売却価格の見直しと交渉:
- 適正な価格設定:
- 不動産会社に査定を依頼し、周辺の売却事例などを参考に、適正な売却価格を設定しましょう。
- 複数の不動産会社に査定を依頼することで、より正確な価格を把握できます。
- 価格交渉:
- 購入希望者との価格交渉で、少しでも高い価格で売却できるように努めましょう。
- 不動産会社の担当者に交渉のサポートを依頼するのも有効です。
2. 売却費用の削減:
- 仲介手数料の交渉:
- 不動産会社と仲介手数料の交渉を行い、費用を抑えましょう。
- 複数の不動産会社に見積もりを依頼し、比較検討することが大切です。
- その他の費用の見直し:
- 登記費用、税金、引っ越し費用など、売却にかかるその他の費用も見直し、削減できる部分がないか検討しましょう。
3. 自己資金の活用:
- 貯蓄からの補填:
- 貯蓄があれば、売却価格とローン残債の差額を補填することで、オーバーローン(売却してもローンが残ること)を回避できます。
- 親族からの援助:
- 親族からの援助を受けられる場合は、資金援助を依頼することも検討しましょう。
4. ローン残債の削減:
- 繰り上げ返済:
- 余裕資金があれば、繰り上げ返済を行い、ローン残債を減らしましょう。
- 繰り上げ返済には手数料がかかる場合があるので、事前に確認が必要です。
- 借り換え:
- より低い金利のローンに借り換えることで、返済総額を減らすことができます。
- 借り換えには審査があり、手数料もかかるので、慎重に検討しましょう。
5. 売却時期の調整:
- 不動産価格の上昇を待つ:
- 不動産価格が上昇するまで売却を延期することで、オーバーローンを回避できる可能性があります。
- ただし、不動産価格は常に変動するため、予測は困難です。
6. その他:
- 住み替えローンの利用:
- 新しい住宅の購入と同時に売却を行う場合は、住み替えローンの利用を検討しましょう。
- 住み替えローンは、残債を新しい住宅ローンに上乗せできる場合があります。
- リースバックの利用:
- リースバックとは、自宅を売却後も賃貸契約を結び、住み続ける方法です。
- 売却代金でローン残債を返済し、その後は家賃を支払います。
重要な注意点:
専門家への相談: 不動産会社やファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談し、アドバイスを受けることをお勧めします。住宅ローンが残っている場合、不動産の売却にはいくつかの選択肢があります。以下に主要な方法を解説します。
オーバーローンは、売却価格がローン残債を下回る状態です。
オーバーローンでの売却は、金融機関の同意が必要になる場合があります。
4. まとめ
離婚後の不動産売却は、次の生活をスムーズに始めるための重要なステップです。しかし、その過程には感情的・実務的な課題が伴います。迅速かつ適切な売却を実現するためには、正確な情報をもとに計画を立て、信頼できる専門家や不動産会社と連携することが欠かせません。
もし、共有持分の問題や住宅ローンが絡む複雑な状況でお困りの場合は、専門性のある当社【とうりの不動産相談】へ一度ご相談ください。新しいスタートを切るための第一歩として、この記事が少しでもお役に立てば幸いです。
とうりの不動産相談 宅地建物取引士 石川